インフォーメーションフィールド
インフォーメーションフィールドは、作曲者、拍子その他、「音楽」そのものではない諸々の情報を示す。そのほとんどはヘッダで用いられるが、なかにはボディ や、ファイルの中のあらゆる場所で使われるものもある。(訳注:ここで原書では一つの例が示されているのだが、あまりに解り難い例に思えたので、訳出は省略する)
それぞれの曲において、Mフィールド(拍子)、Rフィールド(リズム)の記述は自動的に以降の部分に適用される。しかし、新たな記述を加えて変更することもできる。そこで、アルファベット一文字にコロンが続くパターンで始まる行は いつもフィールドと見做されることになっている。それゆえ、E音のすぐ後に右繰返し記号という記譜をしたいからといって、行頭にE:|と書いてしまってはエラーになるのである。
フィールドの使い方を理解するには、例を見るのが一番である。そこで、細かいことをいろいろ書くのは止めて、表に簡潔に記すことにした。表の2、3、4列めは、それぞれ、ヘッダでどう使用するか、ボディで使用可能か、それ以外の場所で も使用可能かを示している。フィールドには、出力には影響を与えないにもかかわらず何らかの理由から存在しているものもある。第5列目にはその点に関する情報を記している。第5列目にindexとあるものはindexにのみ影響し、archiveとあるものは出力には全く影響せず、昔ながらの形式を踏襲する楽譜に 含まれている類の情報を提供する。
フィールド名 | ヘッダ | ボディで使えるか | ボディ以外で使えるか | どこで参照されるか | 例・注記 |
A:area | yes | A:Donegal, A:Bampton | |||
B:book | yes | yes | archive | B:O'Neills | |
C:composer | yes | C:Trad. | |||
D:discography | yes | archive | D:Chieftans IV | ||
E:elemskip | yes | yes | see Line Breaking | ||
F:file | name | yes | see index.tex | ||
G:group | yes | yes | archive | G:flute | |
H:history | yes | yes | archive | H:This tune said to ... | |
I:information | yes | yes | playabc | ||
K:key | last | yes | K:G, K:Dm, K:AMix | ||
L:default note length | yes | yes | L:1/4, L:1/8 | ||
M:meter | yes | yes | yes | M:3/4, M:4/4 | |
N:notes | yes | N:see also O'Neills - 234 | |||
O:origin | yes | yes | index | O:I, O:Irish, O:English | |
P:parts | yes | yes | P:ABAC, P:A, P:B | ||
Q:tempo | yes | yes | Q:200, Q:C2=200 | ||
R:rhythm | yes | yes | index | R:R, R:reel | |
S:source | yes | S:collected in Brittany | |||
T:title | second | yes | T:Paddy O'Rafferty | ||
W:words | yes | W:Hey, the dusty miller | |||
X:reference number | first | X:1, X:2 | |||
Z:transcription note | yes | Z:from photocopy |
表の補足。
- T - 曲の題名
- 曲によってはタイトルが複数あるので、このフィールドも一曲につき複数個使うことができる。 その場合、一番目のTフィールドは大きなタイトルとなり、二番目以降は小さく印刷される。Tフィールドは曲の途中で曲のそれぞれのセクションに名前をつけるのに使うこともできる。 その場合Tフィールドは調号・拍子の変更指定の前に置く必要がある。
- K - 調号
- 調号は、大文字のアルファベットで示す。必要なら、その後に#またはbを続ける。
特殊な音階・旋法をその名称で以って指定してもよい。 たとえば、K:Flydian、K:C major、K:C ionian、K:G mixolydian、K:D dorian、K:A minor、K:Am、K:A aeolian、K:E phrygian、K:B locrianは、どれもシャープ・フラットの付かない譜表を作る。 スペースは省略してもよく、大文字と小文字は同一視される。また、音階(旋法)名については最初の3文字しか認識しないので、K:F# mixolydianは、K:F#MIXともK:F#Mixとも完全に同義となる。 高地バグパイプの曲用に、あと二つほど調号の示しかたが用意されている。K:HPは調号を出力しない。K:HpはF,Cの位置にシャープを、Gの位置にナチュラルをつける。この2つでは、すべての音符・連桁は下向きのスタイルで出力される。
このフィールドでは、曲全体にわたって効力を持つグローバル臨時記号を設定することもできる。たとえばK:D =cと書くと二つのシャープがつくが、すべてのC音はナチュラルがついているものとして扱われる(概念的にはD mixolydianとなる)。 幾つかのグローバル臨時記号をスペースを挟んで併置することもできる。それぞれのグローバル臨時記号、__、_、^、^^の後には小文字で音名を示す。グローバル臨時記号の効果は、ボディ部において音符に臨時記号を付すことによって打ち消すことができる。また、調号が変更されるごとに無効となる。 - L - 標準音符長
- L:1/4ならば四分音符、L:1/8ならば八分音符、L:1/16ならば16分音符、L:1/32ならば32分音符。このフィールドを指定しない場合、Mフィールドの設定に応じて決定される。
- M - 拍子
- M:6/8、M:4/4などの通常の拍子の示し方の他、M:CおよびM:C|により、4/4拍子および2/2拍子をそれぞれ示すことができる。
- P - パート(曲を構成する個々の部分)
- ヘッダにおいては、P:ABABCDCDのように、それぞれの部分をどういう順番で演奏するかを示す。曲中では、P:A、P:Bのように書き、それぞれ該当する部分を記譜していく。
- Q - テンポ
- 一分あたり演奏される音符の個数を指定する。たとえば、標準音符長が八分音符のとき、Q:120あるいはQ:C=120は、一分間に120個の八分音符を演奏するテンポを意味する。標準音符長に関係ない指定法もある。たとえば、Q:1/8=120は、標準音符長がどうあろうと、一分間に120個の八分音符を演奏するテンポを意味する。
- G - グループ
- インデックスのために、曲をグループ化する。
- H - 歴史
- 複数行にわたって、曲の歴史や逸話などを書くことができる。次のフィールドが現れるまで、プログラムはこれらの行を無視する。